PSP リゼルクロス



■基本情報

【製品名】 リゼルクロス
【対応機種】 PSP
【ジャンル】 覚醒するRPG
【発売日】 2007年9月6日(木)
【価格】 4,743円(税抜)
【CERO】 A(全年齢対象)
【プレイ人数】 1人~2人(ゲームシェアリング時)
【発売元】 ソニー・コンピュータエンタテインメント(現・ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
【公式サイト】 http://www.jp.playstation.com/software/title/ucjs10023.html

【プレイ時間】 約28時間




このゲーム、非常にマイナーです。

YouTubeでPVを探しましたが見つからず、やむを得ずニコニコ動画にあった物を貼り付けていますが、通しでのプレイ動画は存在しません。

なぜかヒロインのリョナ動画だけは充実しているところに闇の深さを感じます。

とはいえ、このゲームは決してクソゲーやガッカリゲーの類ではない、と個人的に思います。

ストーリーは、父親を謎の化物に殺された主人公アイルが、その仇を討つためにビーストハンターとなり、旅を始めたところで曲技団に所属するレイファという少女に出会うところから始まります。

そのアイルは序盤も序盤で父の仇であるユリウスに遭遇しますが、復讐どころかユリウスの部下の手にかかって虫の息に。

と、そんな窮地の場面でひょんなことからアイルはリゼル(超能力者のこと)に覚醒し、リゼルとしての道を歩むことになります。


リゼルについてもう少し詳しく説明しますと、アイル達が生きる惑星近傍では、1000年周期でペテロ彗星なるものが通過するのですが、その彗星には不思議な力があるらしく、彗星通過後には一部の人間には身体能力の向上、超能力の取得などといった「覚醒」が起き、その覚醒した人達の総称がリゼルというわけです。

しかし覚醒したのは人間だけではなく、野生動物が凶暴化してビーストとなり、人間たちの生活を脅かすことで社会問題化していました。

そんな中で主人公のアイルはビースト退治の専門家となり、力を蓄えつつ仇討ちの機会を待っていたのです。


このゲームのクリア時間は約28時間と短いことから、非常にコンパクトなゲームであると言えます。

ストーリーもコンパクト、世界地図もコンパクト、戦闘はシンプル、ゆえに予算もまたコンパクト。

コンパクトであるがゆえにムービーにも力は入っておらず、ストーリーは基本的にフルボイスに近い会話でもって進行していきます。

ただ、プレイ時間が短いからといって、物足りないと思うようなことはありません。

自分としては『リゼルクロス』は、リズムゲーと鬼のようなロード時間でプレイヤーを疲弊させる『マグナカルタポータブル』に比べれば、はるかに良作だと主張したいです。

確かに周回プレイみたいな気の利いた要素はありませんが、サクッと遊べるRPGとしては、このコンパクトな世界観は非常に最適だと考えます。


先ほど戦闘はシンプルと書きましたが、システムはそれなりに練られているので詳しく解説します。

このゲームでは、SPゲージ(ドラクエでいうところのMPのようなもの)が肝になります。

SPを使って自分の攻撃力、防御力にブーストをかけたり、アーツと呼ばれる特殊攻撃・補助を使ったりするのですが、このSPは消費されるタイプではなく、逆に蓄積するタイプなのです。

そのSPゲージが満タンを超えてしまうと「ハイパーリゼル」が発動します。

ハイパーリゼルが発動するとほぼ制御不可能な状態になり、時として味方を攻撃してしまうこともありますし、発動後はオーバーヒートを起こしてSPゲージそのものが無くなります(これは後に回復します)。

SPゲージのない主人公達はただの人間と化しますので、能力を持ったビーストや敵のリゼルには苦戦必至となります。

なので、戦闘を有利に進めるには、ハイパーリゼルを起こさないようにするためのSPゲージの計画的な運用が大事になってくるのです。


なお、このゲームには武器や防具を購入する、というRPGおなじみのシステムが存在しません。

主人公のアイルを除き、他の4人の仲間たちはすでに持っている自分たちの武器で戦います。

では、どうやって敵を倒し、敵の攻撃を防ぐのかというと、そこはリゼルマッピングという独特な育成方法を活用することになります。

『リゼルクロス』では、敵を倒すごとに経験値とGP(ジェムポイント)を獲得するのですが、このGPが一定数に達するとリゼルジェムを1個貰えるようになります。

で、そのリゼルジェムをリゼルマッピングで配置していくことで、各種ステータスの上昇ができるようになるわけです。

リゼルジェムを1個置いては攻撃力や防御力を上げたり、属性攻撃を身につけたり、状態異常攻撃に耐性をつけたり、リゼルアーツ(特殊攻撃・補助)を習得したりと、その恩恵はさまざまです。

最終的にリゼルジェムはダダ余りするほど手に入るのですが、余ったジェムは習得したリゼルアーツの強化にも使えますので、割と終盤まで重宝します。


ただ惜しむらくはリゼルマッピングが不完全だったことで、マップ自体にはまだ習得できるリゼルアーツが存在するのに、その道筋をリゼルジェムで埋めることができないのです。

これはおそらく没になったリゼルアーツが存在するものの、先にリゼルマッピングを完成させてしまったため、後から修正がきかなかったのでしょう。

もしくはそこまでリゼルマッピングを埋めてしまうと主人公達のステータスが強化されすぎて、ゲームバランスが狂ってしまうと判断したのかも知れません。

とにかく操作キャラの強化は、レベルUPよりもリゼルマッピングを埋めることが重要だということです。


このゲームをクリアまで遊んで、自分としては「いいゲームだったけど、手放しでは褒められない」と思いました。

まず『リゼルクロス』という言葉がダブルミーニングになっているのは、よく考えられているなあと思いました。

エリアが基本的に一枚絵で、そのエリアを3Dのキャラが動き回るのは初期の『バイオハザード』シリーズを彷彿とさせるもので、別に悪い気はしません。

巨大な列車砲が存在したり、レジスタンスに所属して強大な帝国に立ち向かうところはSCEの名作RPG『アークザラッドII』と共通していて、エンディングが不安になりましたが、最後まで進めると、ああ、遊んでよかったなという気持ちになりました。

チュートリアルも充実していますし、ストーリーも章立てになっており、そのストーリーはダイジェストでいつでも閲覧できる親切仕様。

「どこでもセーブ」搭載!

ドラクエでいうところの銀の竪琴に相当するアイテムがあるので、回復ポイントで敵を呼び続ければサクサクとレベルUP&リゼルマッピングが埋まり、主人公達をコツコツと育成するのが好きな人も満足です。

おまけにゲームシェアリングでミニゲームが遊べるので、隣にいる手持ちぶさたの友達も一緒に遊べます。


じゃあ悪いところは無いよねと思われるかも知れませんが、このゲームの最大の問題は謎解きイベントとステルスゲーをやらされることです。

謎解きはまあいいとして、その謎解きに意味がないことを開発側が漏らしているのがいただけません。

例えば、主人公はとある砂漠を越えてギルティ・ヘブンという場所へ行くことになるのですが、その砂漠が砂嵐でとても進めないため、迂回して進もうということになり、その迂回ルートで謎解きをやることになります。

謎解き自体はちょっと頭を使えばクリアできるものばかりです。

ただ、その迂回ルートの謎解きを終えてギルティ・ヘブンへの道が開けた時にはもう砂嵐は止んでいるのです。

そこで主人公が一言、「オレの努力は何だったんだ……」

それはこっちのセリフですよね?

しかもその迂回ルートにも砂嵐が発生しているので、その砂嵐に巻き上げられると、強制的にマップの入り口に押し戻されます。

なんで謎解きをやっている時に回避ゲーを盛り込んでくるんでしょうか。

どうせどっちも砂嵐なら進めないとか言ってる道を強行した方がマシだった気がするのですが。


なお、この謎解きイベントでは運ゲーもあります。

右か左かのどちらかのハシゴを昇り、不正解だったら強制的にスタート地点に戻されます。

もはや謎解きですらない要素を謎解きに組み込んだ理由は何だったのでしょうか。


あと、なぜ『メタルギアソリッド』もかくやのステルスゲーをやらされるのか意味が分かりません。

警備が厳しいから見つからないように進め、ただし警備兵は一切攻撃できないという謎仕様。

『天誅』シリーズの主人公が聞いたら憤死することうけあいです。

開発はこのステルスゲーが面白いと思ったのでしょうか。


ちなみに警備兵に見つかったらスタート地点に戻され、道中で開けた宝箱も元通り。

謎解きイベント中とステルスゲーをやっている最中はゲームデータのセーブができないので、途中でゲームを止めたい時はミッションパート(と呼称されています)を中断してミッション前に戻るか、PSPをスリープ状態にさせるしか手段がありません。

別にRPGにステルスゲーを持ち込むなとは言いませんが、自分はかくれんぼがやりたくてRPGを買ったわけではないのもまた事実で、これが面白いと思う人もいれば、全く合わないタイプの人間が少なくとも、ここに1人いるわけです。

敵を倒してコツコツとレベルを上げ、ステータス画面で成長したキャラクターを眺めて楽しみたいだけの人間が「今からメタルギアソリッドやるから」と言われて喜ぶとは思えませんし、実際苦痛でしかありませんでした。

早く終わらせたいから宝箱をスルーしましたし、もうその時点でアイテムのコンプリート欲も削がれてテンションダダ下がりです。


……と、文句ばかり書いてもあれなので一応フォローしておくと、こういうミッションパートはクリアすることで経験値、およびGP(ジェムポイント)のボーナスという対価が得られます。

おそらくSCEは、こういう要素を盛り込まないと、このコンパクトなゲームのプレイ時間がさらに短くなると危惧したのでしょう。

リゼルクロスの主人公達はレベル26くらいでラスボスを倒せます。

RPGで肝心要な戦闘と成長システムが物足りないのは実感していましたし、どちらかというとストーリーで魅せるゲームだから、という制作側の意図は理解しますが、だからといって間々でゲームジャンルを変えるのはやめてほしいものです。


『マグナカルタポータブル』の時にも書いたように、自分は声優さんに詳しくないのですが、このゲームの主人公アイルの声優は浪川大輔さん、ヒロイン(?)役のレイファは折笠富美子さん、お硬い性格が途中ではっちゃけてしまう女軍医のマリオン役には沢城みゆきさん、アイルの仇役のユリウスには杉田智和さんがそれぞれ務めておられます。

個人的に印象に残ったのは『ルパン三世』の峰不二子役を、増山江威子さんから引き継いだ沢城みゆきさんの演技で、落ち着いた感じの声質がよく似ていると思いました。


他にも書きたいことはいろいろありますが、特筆すると、作中に登場するセシルという女の子がとても可愛かったです。

特に声が。

幡宮かのこさんという方が演じていらっしゃるのですが、少しググったら察してしまったのでこれ以上は控えることにします。


最後に。

『リゼルクロス』は350円で買いました。

コンパクトですがシナリオはしっかりしているので、ステルスゲーが苦じゃない方にはおすすめです。








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